2006.07.16 (Sun)
北朝鮮決議案 日本は大幅に譲歩

昨日のニュースで、マスコミは、北朝鮮決議案に関して、まるで日米案が通って全会一致で採決され、日本外交の勝利だなどと事実を間違って伝えて、又国民をだまそうとしていた。今日になって、実は日本の勝利どころか、惨敗だということに気づき、一斉に書き直されているようだった。それと、非難決議が採決されたとたん、それまでは制裁決議か非難決議かと騒いでいたのもトーンダウンし、どちらが採決されたかも全く伝えない始末。全く日本のマスコミは、どこまで国民をばかにしたら気がすむのか?
安保理の対北決議案 国連憲章7章削除、拘束力は確保(Sankei Web 07/16 01:46)
日本政府は16日未明、北朝鮮のミサイル発射問題で、国連安全保障理事会に提出された北朝鮮制裁決議案の修正案について、安倍晋三官房長官、麻生太郎外相がハドリー米大統領補佐官、ライス米国務長官とそれぞれ電話会談。英国が提示した国連憲章7章40条に代わる表現を受け入れることを決めた。中国も米国に対し、この表現で了承すると伝えており、安保理理事国15カ国の全会一致による決議案採択が確実になった。採決は米東部時間15日中にも行われる見通し。
ハドリー氏は安倍氏に「ストレートな表現は難しいが40条の趣旨は生かす。これは法的拘束力があり、日本の勝利だ」と述べた。具体的には決議案を安保理で採択する際に、拘束力を持つことを口頭で確認することで一致したという。
これは、制裁決議を求めていた日本にとっては、最終的には非難決議となってしまい、勝利どころか惨敗であり、ハドリーが「日本の勝利だ」と言ったのは、単なるリップ・サービスだ。それを真に受けて、底なしの大馬鹿野郎である安倍晋はこんなコメントを公式に発表している。
国際社会の意思を示した 安倍官房長官 (Flash24)
【10:07】 安倍晋三官房長官は16日午前、国連安全保障理事会で対北朝鮮決議が採択されたことについて「わが国が求めていた『制裁を含む拘束力のある決議』を反映し、国際社会の断固たる意思を示すことができた」とのコメントを発表した。
はあ?決議ということで、一応は法的拘束力はあるかもしれないけど、どこに制裁が含まれているの?400字以内で説明せよ。ちなみに安倍のおっさんは、制裁決議と非難決議の違いがわかっていないのではないかと教えてあげよう(w。
制裁決議:制裁をともなう決議。
非難決議:制裁をともなわない決議。
そして、下のニュースもよく読んでね。
<北朝鮮ミサイル>発射非難の決議採択 全会一致で安保理 (毎日新聞 - 7月16日9時27分更新)
【ニューヨーク坂東賢治】今月5日の北朝鮮のミサイル発射問題で国連安全保障理事会は15日午後4時(日本時間16日午前5時)前、日米などが提案した決議案を全会一致で採択した。決議はミサイル発射を非難し、北朝鮮のミサイルおよび大量破壊兵器開発に関する物資・技術・資金の移転阻止のため、必要な措置を取るよう加盟国に求めた。
日米案には安保理常任理事国の中国、ロシアが反対。日米は最終的に英国、フランスの妥協案を受け入れ、制裁の根拠となる国連憲章第7章への言及を削除し、「国際的な平和と安全を維持する安保理の特別な責任の下で行動する」と条文に加えた。
北朝鮮の朴吉淵(パクキルヨン)国連大使は同日、ミサイル発射はいかなる国際法にも違反していないとし、決議を「全面的に拒否する」と述べた。
それから、小沢氏がいつもになく(笑)鋭い指摘をしているので、これもよく読むように。
「日本強硬役、米の道具に」 民主・小沢代表(Asahi.com 2006年07月15日22時59分)
民主党の小沢代表は15日、北朝鮮のミサイル発射問題に関する国連安全保障理事会決議を巡る交渉について「日本が強硬論の役割を担わされ、その裏で米中や米ロで落としどころを探っているようだ。(日本が)道具に使われているような感じを受ける」と述べた。那覇市で、記者団の質問などに答えた。
小沢氏は「日米関係でも本当の話を聞かされていないのではないか。日本自身がしっかりとした考えを持たないと、米国からもこの程度の扱い(をされる)。中国、北朝鮮からも相手にされない」と批判した。
OPINION ~NEWSに意見~はとても参考になった。
アメリカにしてみれば、北朝鮮のミイル発射問題よりも、イランの核問題の方が重要であり、核拡散防止の観点から、国連安保理で中露の協力を得たい(拒否権の行使を阻止したい)のが本音である。
今回の国連安保理での対北朝鮮決議案は、「拘束力を持つ事を口頭で確認する」という法的拘束力を持たない、決議案が採択された。
これでは、日本の勝利とは言えない! 中国の外交手腕、米国務省(ライス国務長官)の思惑に、してやられた格好だ!
もし、経済制裁を義務付ける、軍事行動を可能にする法的拘束力を持った決議が採択された場合、金正日体制の崩壊に繋がりかねず、国益を損なうのは、隣国の中国、ロシア(韓国)であり、決議案から7章を削除する事は、必然だったのだろう。
え?そうすると決議案でも法的拘束力を持たないこともあるってこと?じゃあ、安倍は全く勘違いしているわけだ。どこまで救いようのないアホなのか?こんなのが次期総理になっちゃったら、本当に日本もおしまいだよ。あ~あ。でも、今回は安倍壷三の思う壷にならなかったね。この調子で、どんどん迷走を繰り返し、国民から愛想をつかされてくれ。