2011.12.16 (Fri)
「冷温停止宣言」に疑問 by 『ニューヨーク・タイムズ』
【原発】次は難題「廃炉」きょう冷温停止宣言(11/12/16)
福島第一原発の事故で、政府は16日、「冷温停止状態」の達成を宣言します。課題は、30年以上かかるとされる「廃炉」に移ります。
政府は、圧力容器の底の温度が100度以下であることや放射性物質の放出が抑えられていることから、冷温停止状態の条件を満たしたと判断しました。野田総理大臣が16日夜に記者会見で達成を宣言します。これで事故収束に向けた工程表の「ステップ2」が終了することになり、今後の作業は圧力容器の下に溶け落ちた燃料の回収という未知への領域に移ります。終了までに30年以上かかるとみられるほか、福島第一原発では今月に入ってからも汚染水漏れなど新たなトラブルが起きていて、事故収束に向けた課題は山積しています。
文:【原発】次は難題「廃炉」 きょう冷温停止宣言(12/16 11:50)より
先日も「広域にわたる放射能除染に対して日本が賛成派と反対派に分裂」という記事を書いた『ニューヨーク・タイムズ』のマーティン・ファクラー記者が、今度は、「日本の冷温停止宣言に対する大きな疑問」という記事で、野田首相の「冷温停止宣言」に対して、その裏に隠された日本政府の思惑を推測しながら、専門家による危惧を暴露している。
京都大学の小出教授もラジオの電話インタビューで何度も指摘しているように、冷温停止とは技術用語で、通常は壊れていない原子炉で炉心が安全に安定している状態のときに使われる。ところが、福島第一原発の今の状況は、決して安定した状態ではない。それどころか、特に4号機は、不安定な状態で、余震などで崩壊した場合、東京や横浜を閉鎖しなければならない緊急事態につながると言われている。
専門家は、政府が予想されるように冷温停止を宣言するとすれば、それは原発の冷却システムを年内に復旧するという約束を守ろうとする政府の努力を反映しているだけで、真の原発の状態を表したものではないと言う。彼らが恐れるのは、日本政府は、国民をなだめるために今回の「冷温停止宣言」で計画通り事故の収束が行われていることを発表したのであり、その目的は、原子炉の安全性を脅かす数々の危険から国民の注意をそらすことにあるのではないかということだ。
その危険の一つに東電が事故後に応急措置として急いで構築した新しい冷却システムが3月11日のマグニチュード9の地震の余震で損傷する可能性があることを多くの地震学者があげている。
冷温停止という言葉自体、壊れた原子炉が安定しているかのような印象を与えかねないが、実際は、壊れた原子炉の燃料炉心がメルトダウンしただけでなく、圧力容器を溶融貫通して圧力容器の外側の格納容器のコンクリート製の構造物の床を侵食している状態であるというのが、専門家の意見だ。
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2011.12.08 (Thu)
福島の除染は「白い象」byニューヨーク・タイムズ
福島第一原発事故後の除染を「白い象」に喩えているのが、「Japan Split on Hope for Vast Radiation Cleanup(広域にわたる放射能除染に対して日本が賛成派と反対派に分裂)」と題された12月6日付けのオンライン『New York Times』だ。マーティン・ファクラー氏は、記事の中では、福島第一原発事故後の除染作業をめぐる日本での議論を紹介しながら、除染は、「日本再生」を暗示するには違いないが、一方で、除染には莫大な費用がかかるため、これからの20年間、日本は、除染による浪費によって経済成長を停滞させ、津波・大地震の災難後、もうひとつの経済的大災難を迎えるだろうと予測している。
この記事の冒頭では、現代のゴースト・タウン化した双葉町を描写しているがそれが実に生々しい。
「災害に向けて螺旋状に始まった双葉町の境にある原子炉から逃げた住民によって3月に放置されてから、伝統的な木の家がたるみ、崩れ始めた。地震によってダメージを受けた屋根には雨が入り込み、内部から家を浸食し腐り始めている。
空虚な町への入り口への道路のアーチ型の看板が愚弄して見える。そこには、
「原発エネルギー:正しい理解が生活を繁栄させる。」と書かれていた。」
以下、記事前半を和訳。
双葉町から避難した住民は、福島第一原子力発電所が、セシウムやヨウ素を放出したとき、原発から20キロ以内、そして汚染された北西の地域に住んでいた9万人の人々の一部だ。
今、日本は、避難者を家に戻すために、莫大で前例のない除染を計画している。もし、試験的な除染が効果的であった場合は、将来の日本を勝ち取るために、その地域に人々を戻すかどうかの議論が活発に交わされている。除染支持者たちは、その地域を復興させることは、日本の恐るべき決意と優れた技術を世界にしらしめるいい機会であり、又、同時に、日本はいまだに巨大な力をもっていることの証となると見ている。
除染支持者にとって、除染は、「日本再生」の暗示なのだ。
これに対し、除染反対派は、福島県除染の努力は、恐らく日本史上最大の浪費公共事業プロジェクトに終わる可能性があり、これからの20年間、日本は、除染による浪費によって経済成長を停滞させ、津波・大地震の災難後、もうひとつの経済的大災難の例となるであろうと批判している。
原発事故以来、今のところ、日本政府は、時期尚早に危険を見逃し、大惨事の影響を過小評価している。すでに試験的除染は始まっている。政府は地域の住民が汚染された庭や野原から何トンという土壌を保管するのをいやがることを予想できなかった。
町の近郊地域の除染の結果を検査した放射線専門技師は、長期の居住では、国際安全基準を超えて被曝することを明らかにした。
地域復興の能弁な支持者でさえ、政府が住民の苦境をどこまで理解しているかわからないと言う。
「(除染によって)福島を救うのは可能だと思う。しかし、避難住民は、それが生きているうちに叶うと思ってはいけない。」と東京大学のアイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授は語った。
専門家は、莫大なスケールの除染からすると、数千の建物から放射性物質が洗浄され、米国のコネティカット州並みの広さの地域で多くの表土を交換された後、住民は初めて自分の家に戻ることができるとみていると説明した。
山々の森林も樹木を切断するなどして、除染する必要がある。
旧ソビエト連邦では、福島よりも大きい唯一の災害であった1986年のチェルノブイリ原発事故の後、そこまで大規模な除染はされなかった。その代わり、旧ソビエトは、30万人の人々を移動させ、広大な農地を放棄させた。
多くの日本政府関係者は、そんな贅沢はできないと信じている。放射能汚染地域は、人口密度の高い日本国土の3%を占めている。
「私たちはチェルノブイリとは違う。私たちは、家に帰ることを決定された。日本には住民を帰らせる意志と技術がある。」と大熊町の渡辺利綱町長(64歳)は語った。
家族が19世代も大熊町に住んでいるという渡辺氏のように、地方に住む日本人は家に深い執着があるという点も、(住民を帰宅させるという)解決法に反映されている。彼らの心からの家に帰りたいという切望は、日本中から多くの同情を集めており、彼らの(家に戻りたいという)願いに反対するのは難しい。

写真:Ko Sasaki for The New York Times
池田みつえさんは、福島の家には絶対に帰りたくないと言った。特に、医療検査で、彼女の8歳になる息子、ゆうま君がセシウムで内部被曝してしまったことがわかった後は。
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2011.04.07 (Thu)
ニューヨーク・タイムズ「米国が日本の原発に見る数々の脅威」
福島第一原発事故の方は、一難さって、また一難という危険な状態が続いている。今日は、国内外のメディアが、一斉に2号機のピットと呼ばれる施設から流出していた高い濃度の放射性物質に汚染された水が止まったことを報道していたが、発電所周辺で採取した海水からは、14万倍にあたる1cc当たり5600ベクレルのヨウ素131が検出されたという。前日は、基準の28万倍にあたる1cc当たり1万1000ベクレルのヨウ素131が検出されていて、この半分程度の濃度になったとはいえ、いまだに驚愕の高い濃度だ。
さらにニューヨークタイムズでは、福島第一で使用されているジェネラル・エレクトリック社(日本では、ゼネラル・エレクトリック社と表記される)製の原子炉に精通する原子炉エンジニアで、現在 Union of Concerned Scientists の原子力安全プロジェクトを指揮する デイヴィッド・A・ロックバウム(David A. Lochbaum) 氏が、ニューヨーク・タイムズによって独自に入手された米国原子力規制委員会による極秘の状況評価書類を基に福島第一原発の状況について厳しい見解を示している。
以下、『The Long Wait 果報は寝て待て。』 福島第一に数々の新たな脅威、とニューヨークタイムズ報じるより。
Posted by knagayama on 2011/04/06 Leave a comment (0)Go to comments
以下は、4月6日付のニューヨークタイムズ電子版記事、U.S. Sees Array of New Threats at Japan’s Nuclear Plant – NYTimes.com の全訳である。個人的な覚書として訳されたもので、その正確性を保証するものではない。もし何らかの誤訳や、改善すべき表現があれば、是非コメントを頂ければ幸いである。
06 April 2011, 13:36 (BST): 誤字を修正した。
日本の原発に数々の新たな脅威
日本における危機的状況に対応するために送られた米国政府所属のエンジニアたちは、福島原発は現在、恒久化しうる様々な新しい脅威に直面しており、そのうちのいくつかは発電所を安定させるための処置そのものの結果として増大する危険性がある、と警告している。米国原子力規制委員会によって準備された極秘の状況評価書類による。
3月26日付のこの書類に基づけば、これらの新しい脅威の中には、注入された放射性冷却水によって格納容器に高い圧力が加わり、今も続く東北地方太平洋沖地震の余震に対してより脆弱になってしまっていること、炉に注入された海水から発生する水素と酸素の放出によって格納容器内部での爆発の危険性があること、等が挙げられており、半ば融解した燃料棒と堆積した塩が炉心に注入されている冷却水を妨害している事態の詳細も記述されている。
ここ数日の間、作業員たちは核燃料の過熱を防ぐために取られた緊急対策の副作用とたたかうことを迫られている。放射性冷却水の漏れや、水につかって作業していた人員の被曝などがこれにあたる。この書類の存在を知る当局者とのインタビューからも、作業員の安全と炉の長期的安定性の復帰に対して冷却水が与える数々の障害を推し量ることができる。
この書類では将来における新たな爆発や余震による損害などについては触れられていないが、このいずれかが発生した場合、既に破損している炉のうち一つまたは複数の格納容器が破壊され、炉心からの重大な放射線の漏出が起こる可能性がある。冷却がうまくいかず、燃料の熱が冷やされないまま融け続ければ、長期にわたって融解状態が続く放射性物質が残されるかもしれない、と原子力の専門家の幾人かは指摘している。
ニューヨーク・タイムズによって入手された当該の書類は、日本政府高官によって既に提供された情報よりもヨリ詳細な技術的な現状把握が成されているが、それでも、日本政府によって米国人専門家に提供されたデータに多く依存しているようである。
ここでは、機能的な冷却システムが動作していない中で、冷却水を注入し続けることが果たして可能なのか、という疑問も投げかけられている。福島第一原発の安定状態を実現するためには、今後数ヶ月にわたって冷却を続けなければならないことが既に指摘されているが、燃料に対して水をかけ続けることが、原子力業界がようやく理解し始めた様々なリスクを発生させてしまうことに多くが気付き始めている。
また同書類によれば、炉の上に設定されている使用済み核燃料プールの一部が、爆発によって「最大で1マイル」上空まで飛散し、高濃度の放射性物質の一部が炉の間に横たわっており、おそらく作業員を保護するために撤去される必要があることも指摘している。初期の水素爆発のうちのいずれかで起こったであろうと見られる核物質の放出は、高濃度の放射性物質プールが、既に発表されている情報よりもはるかにダメージを受けている可能性があることを示唆している。
福島第一で使用されているゼネラル・エレクトリック社製の原子炉に精通する原子炉エンジニアで、現在 Union of Concerned Scientists の原子力安全プロジェクトを指揮する David A. Lochbaum は、書類で示唆された諸問題によって混沌としている状況の中では、対策の成功がさらに難しくなった、としている。
「既に樹海を出たとは行かなくとも、少なくともその外れには辿り着いていると思っていたが」と Lochbaum 氏は言う。「この情報があると話は違う。状況はもっと悪いようだ。何かがうまくいかなければ、ヨリ大きな損害が与えられるかもしれない。」彼は当該書類の作成には関わっていない。
原子力規制委員会によって提示された解決策の中には、格納容器に対する不活性ガスである窒素の注入によって酸素と水素の反応を防ぐことや、冷却水に硼素を注入し続けることによって再臨界を防ぐことが含まれている。
それでも、再臨界が即座に起こる危険性があるとは考えられていないようである。電力研究所(Electric Power Research Institute)の原子力セクター副長官である Neil Wilmsthurst は、この書類の現状評価に関わっており、「再臨界が起こっていることを示唆するデータは一切見ていない」としている。
この書類は、日本政府及び東京電力を補助している当委員会の原子炉安全チームのために準備されたものである。それは日本及びアメリカの数々の組織から「手に入る最も新しいデータ」に依拠している、とされている。これらの組織の中には、日本原子力産業協会、米国エネルギー省、ゼネラル・エレクトリック社、電力研究所などが含まれている。
そこには福島第一原発の6つの原子炉それぞれの詳細な現状評価と、それに対して推奨される対策が含まれている。この現状評価をよく知る原子力専門家たちは、この書類が定期的にアップデートされているものの、総合的には、3月26日付の版が現在の思考を最もよく著している、としている。
それは1号機、2号機、そして3号機の損傷した炉心の状態に関する新しい詳細説明を含んでいる。冷却に利用された海水から発生する塩とこぼれ落ちた燃料が冷却水の配管をつまらせているため、1号機における水の流れは「ひどく制限されており、遮断されている可能性もある」。炉心の中では、「水位はゼロに近いと見られ」、その結果として、「燃料がどの程度冷却されているかを判断するのは非常に難しい」とされる。同様の問題は2号機と3号機にも見られるが、1号機と比べれば水の流れはよい、と書類は述べている。
塩の幾分かは冷却に利用されている水が海水から浄水へ変化したことで流されたかも知れない、と原子力の専門家は言う。
格納容器の内部における水位の上昇は燃料を浸して冷やすための一手段として説明されてきた。しかしこの書類では、「容器を水に浸す際、水圧が耐震性に及ぼす悪影響を考慮すべきだ」とされている。
水位が上昇すると、格納容器には膨大な水圧が加えられる。それが高ければ高いほど、大きな余震が襲った際に容器が崩れてしまう可能性もまた高まる。
ゼネラル・エレクトリック社の元原子炉設計者である Margaret Harding は、余震への警告として、「もしわたしが日本人なら、地震以降その構造的な統合性が調査されていない格納容器に対して何トンもの水を注入することには非常に警戒的になる」としている。
ほかにもこの書類では、高濃度の放射線が存在する環境における海水からの水素と酸素の放出によって発生する、鉄筋コンクリート製の格納容器内部の「有害な空気」についても注意を呼びかけている。
この災害の初期の段階で発生した水素爆発は、原子炉の建物をひどく損ない、格納容器に損害を与えた可能性があるものもある。この水素が発生したメカニズムには、核燃料の被覆が関与している。この書類では、これらの気体を容器から放出し、安定した窒素ガスで満たすことが肝要であるとされている。この機能は震災以降失われている。
炉心から出る放射線は水分子を2つに分割し、水素を発生させることができる、と原子力の専門家は言う。Wilmshurst 氏によれば、3・26書類後の計算によれば、生成された水素の量は少ないとされている。しかしノートルダム大学の物理学者である Jay A. LaVerne によれば、燃料棒の近くでは水素が発生している可能性があり、酸素と反応するかも知れない、という。「もしそうならば、燃料棒付近で爆発生の混合物が発生しているということになります」と LaVerne 氏はインタビューで発言した。
原子力エンジニアたちは、格納容器の外にある使用済み燃料棒プールが、溶融した炉心よりもさらに危険であるかも知れない、としてきた。これらのプールは原子炉の建物の上部に位置し、使用済みの核燃料を水に浸す役割を担っているが、その冷却システムは作動していない。
この事故の初期に起こった4号機の原子炉の燃料プールで発生した水素爆発が、多くの放射性物質を環境に放ったことを米国原子力規制委員会のレポートは示唆している。
専門家の危惧は、水素爆発によって屋根が破壊され、燃料プールの放射性物質が直接露出していることから来ている。一方、原子炉には頑丈な格納容器があり、炉心で燃料が溶融したとしても、放射線を外に漏出させない可能性がより高い。
多方面にわたる問題の複雑性を捉えて、「ジャグリングのプロでも、ボールが多すぎるとうまくいかないものです」と Lochbaum 氏は言った。「考慮すべきことが多すぎ、かつ、1つを間違えただけで、状況はぐんと悪くなるかも知れません」。
Henry Fountain contributed reporting from New York, and Matthew L. Wald from Washington.
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2010.01.23 (Sat)
ニューヨーク・タイムズの全文日本語訳を阿修羅で発見♪
でも、2,3日しても、記事の部分的な翻訳はいろいろなブログで話題になっていたけれども、全文訳は出てこなかった。ネット検索しても出てこないので、Twitterで呼びかけてみたら、参議院議員秘書の勝見貴弘氏が全文訳が阿修羅にあることを教えてくださった。
ああ、ありがたや~。ありがたや~。
翻訳してくださったのがどなたか存じ上げませんが、ありがとうございました。
本当に助かります。タイトルが違いますが、内容は同じようですね。
NYT記事のタイトル:
Japan Stalls as Leaders Are Jolted by Old Guard
この和訳で使われているタイトル:
In Japan’s Scandals, a Clash of Old Order and New
きっこちゃんが訳してくれたフィナンシャル・タイムズは恐らく日本の財務省関係者の意向が反映されているので、どちらかというと、アンチ小沢の論調で書かれていたと思うけど、このニューヨーク・タイムズは、フィナンシャル・タイムズとは真っ向から対立するような日本の検察やメディアを批判する論調となっている。

写真:Japan Stalls as Leaders Are Jolted by Old Guard
By MARTIN FACKLER
Published: January 19, 2010
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小沢一郎 |
ニューヨーク・タイムズ |
全文訳 |
2010.01.19 (Tue)
ハイチ大震災は自然災害というよりも貧困問題からきたもの
マグニチュード7.0の強い地震に襲われたハイチでは、死亡者が5万人、負傷者は20万人を超えると言われている。カナダ人の友人から紹介されたニューヨーク・タイムズの記事には、1989年の10月17日にカリフォルニア北部の海岸地域で起きた同じくマグニチュード7.0の地震で亡くなられたのは63人のみだったという。つまり、1月12日にハイチの南岸沿いにある首都ポート・オウ・プリンスを襲った災害は、「自然災害」による問題というよりも、むしろ、「貧困」によって生じた貧弱な建物や不安定な基盤、さらに悪質な公益事業による問題であると書かれていた。
震災が起きてすぐにYouTubeには、現地より崩壊した建物や負傷した多数の被災者の生々しい様子を伝える動画がアップされた。写真では、『Boston.com』の”Earthquake in Haiti”というサイトが現地の様子を生々しく伝えている。
海外のセレブからは、続々と億単位の寄付がハイチに届けられている。
ところが、日本の芸能人からの寄付のニュースはいまだに聞かない。特に一つの番組で500万円を稼ぐみのもんたや年収3億から5億を稼ぐと言われているSMAPの中居君こそ、個人で多額の寄付をするべきだろう。みのもんたといえば、読者のニッピさまから下記のコメントをいただいている。
みのもんたが小沢さんのことを「ゼネコンから裏金をもらったことは事実だ」と断言していました。そして、「政治家がゼネコンから賄賂をもらって見返りに公共事業の受注をしてやることが許されていいのか」
> というようなことを言ってましたが、立件もされていないうちに、罪と決め付けるような発言がなれたことは問題です。TBSに抗議します。
これまた自民党の広告塔であるみのもんたらしい発言だと思う。番組を見た方で、ニッピさまと同じように感じたら、TBSに抗議しよう。
ハイチへ献金を送る方法はいろいろあるけれども、ユニセフはアグネスが広報担当じゃ信用できなそうだし(笑)、日本赤十字が信頼できるのではないかと思う。他にもあれば、教えていただきたい。
追記:
バリー・テイルさんがコメント欄で、米国の赤十字社のサイトからなら、クレジットカード(ビザ、アメックス、マスターカード、ディスカヴァーのいずれか)でも寄付できると教えていただいた。 下のサイトに行って寄付の額(US$10以上)、領収書を発行するため、名前とEメールのアドレスと住所を書いて、クレジットカード番号とCWナンバー(カードの裏にある3桁から4桁の数字)、カードの有効期限を記入するだけ。5分もあれば簡単にできる。
Haiti Relief and Development (米国赤十字社のサイトより)
日本赤十字でもこのように簡単にクレジットカードで寄付できればもっとたくさんの寄付が集まるだろうと思う。
被災地における救援活動等を支援するため、皆様からの救援金を受付けています。
振込口座などは下記のとおりです。
支援期間・支援方法など
救援金窓口1 郵便局・ゆうちょ銀行
口座番号 00110-2-5606
口座名義 日本赤十字社
受付期間 平成22年1月13日(水)~平成22年2月12日(金)
※振替用紙の通信欄に「ハイチ地震」と明記してください。
※郵便局窓口での取り扱いの場合、振替手数料は免除されます。
※受領証を希望される方は、振替用紙の通信欄に「受領証希望」と明記のうえ、
お名前、ご住所、お電話番号を記載してください。
救援金窓口2 三菱東京UFJ銀行 東京公務部
※手数料は原則として免除されます。詳しくは、こちらをご覧ください。
救援金窓口3 ファミリーマート「Famiポート募金」
コンビニエンスストアのファミリーマート店舗内に設置されている情報端末機器
「Famiポート」の募金コーナーからも送金が可能です。
詳しくは、こちらをご覧ください。
[担当窓口]日本赤十字社 海外救援金担当
Tel: 03-3437-7081 E-mail: info@jrc.or.jp
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2009.09.03 (Thu)
鳩山論文批判は小泉純一郎とジェラルド・カーチスの仕業だった

米国では、米国大統領選挙が終わった時点で、次期大統領になるオバマに対して、尊敬の念をこめてかどうかはわからないけど、「オバマ次期大統領」と呼び名が変わっていたが、日本のメディアでは、いまだに鳩山代表と呼ばれているのはなんか腑に落ちない。もうすぐ総理になるんだから、「鳩山次期総理」とか「鳩山次期首相」と呼ばれるべきではないか。
きっこちゃんが、「米国の鳩山批判に小泉氏の影」というエントリーで、ニューヨークタイムズ紙などの一部のアメリカのメディアが、民主党の鳩山由紀夫代表が日本の月刊誌「Voice」9月号に寄稿した論文の一部を意図的に抜粋し、鳩山代表や新政権に対する批判を繰り広げている問題で、その裏で小泉純一郎やその飼い犬であるジェラルド・カーティスが糸を引いていることを明らかにしている。
ニューヨークタイムズ紙の抜粋では、省略が目立ち、「日本は米国主導のグローバリズムという名の市場原理主義に翻弄され続けてきた」という点と、「米国の国力が衰える情勢でのアジア統合の重要性」を訴えているというともすれば、米国批判としてとられかねない2点のみが強調されて紹介されている。
9月2日付けの英語版のロイターにも、鳩山論文に対するジェラルド・カーチスのコメントが載っていたが、恣意的に日米の喧嘩を煽るような悪質なコメントだった。
小泉がきっとジェラルド・カーチスに米国のメディアに民主党批判の記事を書くように依頼したのだろう。逆に、英語の報道に小泉を褒めるような内容の記事が多いのも、ジェラルド・カーチスの仕業かもしれない。
麻生太郎のときは日本語の論文でさえ見たことがなくて、英語の論文なんてとてもじゃないけど書けなかったのに比べると、米国ではジェラルド・カーチスによって偏向的に報道されているが、それだけ話題になるのはいいことだと思う。
今日、鳩山次期首相が初めてオバマ米大統領と電話会談をした際に、前述した米メディアの批判も踏まえて、日米関係を重視していることを強調し、政権交代できたのも、「大統領が勇気を与えてくれたおかげ」とオバマに感謝の意を示したそうだ。衆院選終盤での鳩山氏の演説はまるでオバマが乗り移ったかのように表現力が豊かになり、それが人々の心を民主党へと動かしたことを考えると、鳩山氏にとってはオバマのおかげで最後までがんばれたという意味で謝意を述べたのだろう。
個人的に、去年末の米国で米民主党が圧勝したときに初めて、この調子なら日本でも政権交代が実現するかもという実感がわいてきたし、オバマのスピーチのスタイルを参考にできたおかげで、民主党が自公政権に圧勝できたというのも理解できる。
なにはともあれ、去年の小沢代表の秘書が逮捕されたときに発足した第三者会議での質疑応答のときから民主党バッシング、自民党、公務員擁護の姿勢を示してきたジェラルド・カーティスにはくれぐれも気をつけなければならない。
関連記事:
ジェラルド・カーチスの正体
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2009.08.31 (Mon)
日本の夜明けと国民主権政治の始まり

『亡国魑魅魍魎録』のみーけさんがこれまた傑作な自エンドポスターを作ってくださいました。
政権交代成って、パソコンの前で美酒を飲み交わされたみなさま、当選者のリストを眺めながら、これほどおいしいお酒は久しぶりでしたね。今回の自民党の歴史的惨敗、民主党の戦後最多議席数獲得で勝ち取った政権交代は、毎日忙しい合間をぬって共感できる記事を書いて下さったカリズマブロガーのきっこちゃんや植草さん、そして「自エンド」TBPやブログ村トラコミュ「自エンド」の仲間の努力の成果であり、又、貴重な情報やブログの感想などをコメントしてくださったり、TBしてくださった読者の方々のおかげだと信じている。つまり、今回の政権交代は、もちろん民主党を中心とした野党政治家の方々の努力の結晶であるけれども、同時に私たち有権者の積極的な政治への働きかけの結果でもある。
「自エンド」TBPやブログ村トラコミュ「自エンド」はこれで役目を果たしたわけだけど、植草さんの問題がまだ残っている。政権移行が完全に終了し、植草さんがご帰還されるまで、自エンドのリンクはこのままにしておくつもりだ。その後は、民主党を見守っていくために、「民主党」のリンクリストに変えようと思う。
今日は日曜日だったのに日本時間深夜0時(カナダの午前11時)は、ワイナリーへの訪問客も少なく、無事一人でニヤニヤしながら、ワインで自エンドの祝杯をあげることができた。仕事仲間から、「何か嬉しいことでもあったの?」と聞かれたので、「うん。ついに日本で60年続いたLDP(自民党:Liberal Democratic Party)の悪政に終止符が打たれて、DPJ(民主党:Democratic Party of Japan)によって政権交代が実現したんだよ。」と言うと、「へえ~。同じ政権が60年も続いていたの?」と驚いていた。
仕事から帰ってから、テレビをつけたら、北米のニュースでも、約半世紀に渡って日本の政権を治めてきた自民党政権が終わり、麻生太郎が辞任することを伝えた後、次期総理になられる鳩山由紀夫氏の顔が大きく映し出され、鳩山氏の簡単な経歴が紹介された。
夕食後には、パソコンの前でとらちゃんが作ってくださった当選者のリストを眺めながら2度目の祝杯をあげた(笑)。こんなに詳しい当選者のリストを作ってくださったなんてありがたい・・・・。
悲願の「政権交代」成る! (第45回衆議院議員選挙『当選確実者速報』その1)
野田聖子も、中川(女癖)も、北海道のイヤミ(町村)も、政界の尻軽女も、比例復活してきた~!(第45回衆議院議員選挙当選者・その2)
民主党議員の当選者リストはこちら↓
第45回衆議院議員選挙 民主党議員当選者一覧
時事通信によると、各都道府県選管が発表した第45回衆院選の投票率は、69.28%だったそうだ。70%を超えることはなかったが、四捨五入すると間違いなく70%になる。67.51%だった前回の2005年の郵政民営化選挙を1.77ポイント上回り、現行の小選挙区比例代表並立制が導入された1996年以降の選挙では過去最高だったとか。
議席に関しては、民主党の圧勝で、小選挙区で前回選挙の52議席から221議席、比例も前回の61議席から87議席を獲得し、単独では戦後最多の308議席を獲得した。一方の自民党は、公示前の300議席から小選挙区64、比例55の119議席に激減。公明党も小選挙区に擁立した8候補が全員落選し、比例で21議席を獲得したが、公示前の31議席から10席も減少した。
共産党は比例で9議席を、社民党は選挙区3、比例4の計7議席を獲得し、公示前勢力をそれぞれ維持。公示前4議席のみんなの党は5議席(選挙区2、比例3)に伸ばし、同じく4議席だった国民新党は選挙区での3議席に減らした。新党日本と新党大地は1議席ずつを得た。
残念ながら、ずっと応援してきた社民党の保坂展人氏は比例でも当選できず、安倍晋三と一騎打ちに出たとくらたかこさんも当選できなかった。逆にあの完全無視属の小泉進次郎が当選し、ザウルス森まで当選してしまった。さらに、片山さつきは落選したが、小池百合子も野田聖子も比例でカム・バックだなんて許せねえ~。それでも、次の衆院選までの命だろう。議員生活最後の4年間を野党議員として、反省しながら過ごして欲しい。
そんなムカつく気持ちも、鳩山由紀夫次期首相の記者会見を見て、この人になら任せられると落ち着いたので、記者会見の要旨、動画、そして、鳩山氏の私たち国民へのメッセージをみなさまにもぜひ聞いていただきたい。
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2009.05.31 (Sun)
小沢スキャンダル報道で、日本のメディアは権力の言いなり(NYタイムズ全文和訳)
Memo From Tokyo
In Reporting a Scandal, the Media Are Accused of Just Listening
(小沢スキャンダル報道で、メディアは言いなり)
という記事で、日本のマスコミは権力の言いなりであることを厳しく批判している。日本のメディア、特に記者クラブ特権を持つ大手御用メディアの記者には、耳の痛い話だが、よく読んでおくように(笑)。なんと!この記事には、保坂展人議員の意見やブログも紹介されている。

『金融そして時々山』 ニューヨーク・タイムズ、検察に媚びる日本の新聞を切る (5月29日)が要点をうまくまとめて下さっているので、全文を読んでる時間のない方にはオススメ。
日本のことを日本のメディアからではなく、外国の新聞から学ばねばならないことは残念である。今日(5月29日)のニューヨーク・タイムズは「日本のメディアは検察庁が流す情報を丸投げ」という記事を書いていたがこれもその一つだ。
記事は西松建設からの政治献金問題で小沢前民主党代表の公設秘書が逮捕された件について、検察庁の政治的意図と検察ベッタリの大手メディアの報道を批判する。記者のFackler氏は保守論壇の中西輝政京大教授の意見から述べはじめる。曰く「マスメディアは国民にとって何が重要かということを告げることに失敗している。日本は政府を変えて、政治的マヒ状態から脱却するチャンスを失おうとしている。国民がそのことを知らないうちに」
実際のところ公設秘書逮捕以来落ちていた民主党の支持率は、鳩山代表選出後若干反発している。だが選挙見通しが混沌としていることに変わりはない。
記事によると日本のジャーナリストは小沢前代表に厳しく、全般的に検察寄りであることを認めているが「メディアは単に検察の発表を繰り返しているだけだ」という批判には怒りを示している。
(後略)
和訳全文は、続きを読むへ(↓)。
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2008.12.22 (Mon)
麻生鉱業についてニューヨーク・タイムズに抗議して赤っ恥をかいた外務省

昨日の夜、雪がさらに50センチ積もったカナダから(汗)。
さすがに雪が大好きなシロちゃんも外に出てあまりの寒さにすぐに戻ってきた。
ニューヨークタイムズが2006年11月に麻生一族が経営していた旧麻生鉱業(現名は麻生セメント)で第二次世界大戦の連合軍捕虜を強制的に労働させていたとの記事を載せると、当時、害務大臣だった麻生太郎が、その職権を濫用して、在米総領事館のホームページに下記の抗議文を載せた。
「日本政府は当時の一私企業である麻生鉱業の雇用形態や労働条件などをコメントする立場にはない。しかしながら、日本政府は、これまでに麻生鉱業が強制労働に関与したというどんな情報も得たことがない。ニューヨーク・タイム ズ紙が何の証拠もなしにこのような偏向した報道を行うとは、はなはだ遺憾である。」
"The Government of Japan is not in a position to comment on employment forms and conditions of a private company, Aso Mining, at that time. However, our government has not received any information the company has used forced laborers. It is totally
unreasonable to make this kind of judgmental description without presenting any evidence."
ところが、18日、民主党の藤田幸久参議院議員が、外交防衛委員会(参院ネット・ビデオライブラリー動画)で厚生労働省が保管していた公文書の開示を求めたところ、麻生鉱業株式会社吉隈炭鉱が陸軍大臣に捕虜を炭鉱労働に従事させるよう許可を求めた一連の文書が見つかったため、在米総領事館のホームの抗議文を削除せざるを得なくなったという。
外交防衛委員会における藤田幸久の質疑議事録 旧麻生鉱業等外国人捕虜政策について
財閥出身の総理大臣の過去にやましいことがあるからといって日本の歴史を捏造しようとする日本はなんて不幸な国なのか。外務省は何の調査もせずに麻生の指示に従ったことから、日本の歴史を調査する能力もないことが判明した。だからいつまでたっても従軍慰安婦問題、南京大虐殺問題、北朝鮮拉致問題などの真相も明らかにならないままなのだ。
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