2008.07.07 (Mon)
洞爺湖の霧は深まるばかり


日本では七夕の今日、洞爺湖サミットが開幕された。カナダのスティーブン・ハーパー首相(49)もローリーン夫人(45)と共に来日した。ハーパー首相はG8で唯一福田首相(71)と会談していなかった首相として知られている一方、今のところ、北海道内の20市町村が首脳と交流を要望しながら、実現が難しいとされている中で、ハーパー首相は洞爺湖町に隣接するカナダのレークカウチン町と姉妹都市である伊達市を訪れ、子供たちとの交流が実現したそうだ。
私は今回のサミットはG8主要国だけで行われるものだと思っていたら、東京新聞によると、実際は、それに加え、拡大会合や主要経済国会合というものがあって、そこには中国、インド、韓国、オーストラリア、南アフリカ (アルジェリア、エチオピア、ガーナ、ナイジェリア、セネガル、南アフリカ、タンザニア)など、合わせて二十二カ国の首脳も招待されており、史上最大規模の経済サミットになるとのこと。
そのせいか、日本の警備体制も半端ではなく、北海道新聞によると、日本政府が約600億円もサミットに費やしていることを英タイムズ紙に指摘されているそうだ。それによると、日本はサミット運営費に英国の3倍以上の経費をかけており、その半分が警備費用に充てられているらしい。600億円あったら、400万人のエイズ患者の治療ができるという。
これだけ税金を費やしても、それなりに効果があればいいのだが、実際はほとんど各国首脳の「慰安旅行」くらいの意味しか持たないのが現実ではないだろうか。 その例が6日の日米首脳会談だ。福田首相は、2050年までに温室効果ガス半減の長期目標合意に向け、ブッシュ大統領を説得しようとしたが、全く功をなさなかった。その結果、欧州委員会のバローゾ委員長も、20年から30年をめどとする温室効果ガス削減の中期目標に数値を明記することが困難になったとの見通しを示している。又、北朝鮮の拉致問題においても、ブッシュ大統領から問題解決への具体的な協力の意思表示は示されていない。
日本ではあまりNGОの抗議活動の様子や警備員、警官の対応などは報道されていないようだが、英国ではBBCが活動家によって撮影された抗議活動の動画をYouTubeにアップしている。
Protests ahead of G8 summit
そんなわけでサミット反対デモが行われるのも当然のことだろうと思う。日本の平和ボケ国民の中にはなぜサミットに反対するデモが行われるのかわからない人も多いと思う。『天木直人のブログ』「2008.7.6. サミット前日に考える事」でも紹介されていたスーザン・ジョージ氏の説明がわかりやすいと思うので、彼女の東京講演の模様をYouTubeから紹介しよう。
G8サミットは不法(illegitimate)だ!@スーザン・ジョージ東京講演(通訳付)
G-8に集まっている国は地球上の人口のわずか14%を代表しているに過ぎない。その指導者たちは、自分たちの国では選挙で選ばれたかもしれないが、世界を支配する役割を担うために選ばれたものではない。しかも、この指導者達ですら、自分たちの国において正当に国民を代表していないかもしれないのだ。
その指導者たちが、世界を代表しているがごとく振る舞うそんな会議に正統性はない。例えば、ジョージ・ブッシュは自国でも信用されていないし、英国のブラウン首相や仏国のサルコジ大統領は就任して1年しかたっておらず、支持率も38~39%と低い。そして、私は日本の福田首相も国民から人気がないのを知っている(会場から笑い)。(後半略)
福田首相は支持率20%前後だから、ブラウン首相やサルコジ大統領よりもずっと低くなる。問責決議案も出されているこんな首相が辞任せずにサミットの議長をやっているっていうんだからあきれてしまう。
さらに、
サミットに反対している団体って、なぜ、反対なんですか? 僕は、先進国の首脳が集まることに、大変な意義を感じるんですが
という質問に対して、答えていた『Yahoo!知恵袋』のベスト・アンサーもわかりやすかったので紹介しよう。
会議をする国について
・ 世界の問題を8ヵ国だけで決めるのはおかしい(G8は国際法上の手続きを経た会合ではない)
・ 会議内容はほとんど極秘で各国首脳、閣僚、官僚、大企業などごく一部のお金持ちや権力者にしか知らされないのはおかしい
(⇒世界には200カ国近く国があるのに、8カ国だけ集まるのは民主主義じゃないよね)
貧困問題編
・ 経済のグローバル化反対
・ ネオリベラリズム(新自由主義)反対
(⇒石油や食糧などの資源を大企業が独占するのはダメだよね。途上国は先進国の食糧生産するためにあるわけじゃないでしょ)
環境問題編
・ CO2排出権の売買はおかしい
・ 原子力発電の積極的推進反対
(⇒どこらへんがエコなのかとw)
戦争編
・ G8は「テロとの戦争」を名目として軍事力を拡大し、無用な殺戮や、人権侵害を行っている
これ以上先進国の安全保障を優先し、核兵器所有、軍隊・軍事基地の拡大・拡張等を推し進めることは許さない
(⇒戦争は最大の環境破壊・人権侵害でしょ。イラク戦争に至った理由もウソだらけでしたよね、アメリカさん♪「テロとの戦い」といいつつ、目障りな市民運動家を弾圧してるだけでしょ)
表現・言論・集会の自由編
・ G8サミットに関する市民団体・NGO関係者のビザ発給・入国の拒否をするのはおかしい
・ 不当な逮捕・家宅捜索反対
(⇒反対運動の準備をしてたり、来日しようとした日本人・外国人の方が捕まったり、入国拒否されたらしーです)
まとめ
洞爺湖サミットで決めることは、世界の戦争・紛争の増加、貧困拡大、環境破壊を推し進めるためのもの。
お金持ちの国の、お金持ちの人の利権が拡大するだけで、民主主義では決してない。
それはG8以外の国だけでなく、日本(G8諸国)のわたしたちの生活にも直結する問題だ
だから反対する
という感じかな。
いろんな反対団体の主張を見てまとめました。
説明不十分な点が多すぎて「?」がいっぱいあると思いますが、「ネオリベラリズム」辺りをキーワードに書籍を探して読んでみて下さい。
このほかに本当か嘘かわからないけれども、YouTubeには洞爺湖サミットのためにつくられた1億1000万円の公衆トイレの動画もあった。
1億1000万円の公衆トイレ[G8 北海道洞爺湖サミット]
これだけサミットにはふんだんにお金を使いながら、ホームレスの男性には生活保護を支給するのをしぶっている日本。外面ばかりよくしようとして内面が悪いって、誰もが知っているのに全く改善される兆しがないってやっぱりどこかおかしいよ。
「生活保護不支給は違法」=ホームレス男性が提訴-東京地裁 (時事通信 7月7日)
所持金が数百円しかなく、住む場所もないのに生活保護を支給しないのは違法だとして、東京都内でホームレス生活を送っている横山正美さん(57)が7日、新宿区を相手取り、申請を却下した処分の取り消しと、月約13万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。
訴状によると、路上や公園で寝泊まりしていた横山さんは6月、同区に生活保護を申請したが、「仕事は十分確保できる」と却下された。
原告側は「住所や連絡先もない状態では就労の道が事実上閉ざされており、却下は実情を無視している」と主張。ボランティアの炊き出しに頼る困窮した生活は、受給要件を満たすとしている。
横山さんは提訴後に記者会見し、「ホームレスにはもっとひどい境遇の人たちがいる。その人たちのためにも道しるべになりたい」と語った。
代理人の渡辺恭子弁護士は「都内だけでも数千人いるホームレスに対する行政の姿勢を問いたい」としている。
今回の北海道洞爺湖サミットの主要テーマは、アフリカ支援、地球温暖化防止、原油・食料問題、核不拡散の4つということだけど、これらの問題はG8で推奨されてきた新自由主義政策がもたらしたものではないのだろうか。新自由主義によって、国内の格差だけでなく、国同士の格差も開き、その結果、米国のように富める国が生まれた一方、アフリカのように貧困に悩まされる国も増えた。G8の国々によって地球温暖化が加速され、ブッシュのエタノール政策によって原油・食料の値段が高騰した。米国の脅威を感じた貧しい国々は自国を防衛するために核を持つようになった。
ローマ法王ベネディクト16世はG8サミットに「貧困、飢餓対策」を期待するとの声明を発表した。アフリカに支援するのはいい。しかし、アフリカだけでなく、新自由主義によって広まった各国の貧困、飢饉の状況を報告し合い、それに対する解決策を助言し合うことこそG8サミットの重要テーマとなるべきであったのではないか。
関連記事:
『亡国魑魅魍魎録』洞爺湖サミット600億円とその面子
『晴天とら日和』 サミットを前に「日米首脳共同記者会見」(どうでもいいような備忘録)
洞爺湖サミットでは、環境問題も重要だけど、新自由主義がもたらした貧困問題こそ優先されるべきと思ったら、今日もランキングの応援よろしくお願いします。

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