2012.05.18 (Fri)
福島第一原発4号機の危険性に関する議論
東電もやっと重い腰を上げて、4号機原子炉建屋の耐震性を確認する調査を始めたそうだが、やることなすこと全てが遅すぎる。なぜ、4号機崩壊の危機は、すでに事故が起きた去年の3月に海外の原発関連識者が指摘し、去年の10月には、元GM原発技術者のアーニー・ガンダーセン氏がヴィデオで訴えた。
#福島 原発事故:核燃料プール倒壊火災で18.7万人死亡想定:米国立研究所
それなのに、電気料金の値上げを意識してかどうかはわからないが、今頃耐震性を確認する調査を始めるなんて、いかにも殿様商売の東電らしい。今頃調査しても、今日の強風で崩壊してしまったら、後の祭りだ。国民が不安を抱きながら毎日暮らしているのをまるで他人事のように見てみぬふりをしてきた今の政府と東電に、原発の管理をこれ以上まかせることはできない。
これまで脱原発有識者として知られてきた武田邦彦氏が、最近は、4号機のプールが危険だということに対して、その根拠が学問的に示されていないことを理由に懐疑的な様子を見せている。
4号機の燃料プールの計算・・・危険か安全かを科学のレベルで議論しよう!
つまり若干の放射性物質が出る可能性もあるが、「すべてが終わり」というような状態とは全く違う。だから問題は1時間3トンの水を4号機のプールに入れることができるかということだが、2011年3月20日、つまり事故直後に消防車が4号機に注いだ水が1時間80トンだったから、その20分の1以下の水量だから、十分過ぎるほどで、水の蒸発はほとんど無く4号機のプールから放射性物質が大量にでることはないことがわかる。蒸気の計算に20倍の甘いところがあっても大丈夫ということになる。
また、プールが崩壊して燃料棒が4号機の床に落下してもその上から水をかければ良いので、これも同じである。従って、4号機のプールが破壊して燃料棒が落下しても、プールは破壊せずに水だけが抜けても、若干の消防車が駆けつければ冷やすことができる。燃料同士がバインドされていないので、大規模な臨界に達することもない。
・・・・・・・・・
このような計算をすると、「4号機が危ない」ということにならないのだが、計算が複雑だから私が間違っているかも知れない。読者の方のチェックを期待します。
あまり、計算のことはわからないが、武田氏の場合、原発や放射能の専門家ではないので、燃料棒についても、水中から出たときに増加する放射性物質の量や、落下したときに爆発する可能性のあることなども触れていない。
『阿修羅』の記事にあったコメントによると、燃料は集合体が約1330本、未使用燃料棒が約265本、燃料棒本数にして約35万1000本だ。燃料棒は直径約1cm長さ4mだからウラン(比重19.05)と被覆管合わせた1本当たり重量は約7kgくらいだろう。総燃料重量は約2460トンになるそうだ。これだけの燃料が落下して爆発しないという保障は全くないし、落下しても水をかければOKなどという武田氏の主張はとうてい受け入れがたい。
先日の小出裕章氏がNYで講演した際、4号機のプールが崩壊すると広島原爆の5000倍の放射能が放出されると述べられていた。若干の放射性物質が出る可能性があるなどととても科学のレベルからも程遠く、寝言のようなことを言っている武田氏は、原子力村に再び寝返ったのかもしれない。
2012.02.25 (Sat)
アーニー・ガンダーセン氏が来日し、福島第一原発の真相と展望を語る
Arnie Gundersen "日本政府は東電を守る事を最優先し国民を守るのは二の次"
Uploaded by junebloke on Feb 24, 2012
2012.2.20 ARNIE GUNDERSEN AT THE JAPAN NATIONAL PRESS CLUB
The Japan National Press Club hosts Arnie Gundersen. Over 80 journalists were present where questions were asked regarding the nuclear disaster at Fukushima Daiichi and the ongoing risks associated with the GE Mark 1 BWR nuclear reactors.
http://fairewinds.com/content/arnie-gundersen-japan-national-press-club
*jnpc さんが 2012/02/20 にアップロード分の概要(ミラー)。
Arnie Gundersen, Nuclear engineer
会見で使用した資料
http://www.jnpc.or.jp/files/2012/02/709cb5f939f98575ef2ea7df46455afa.pdf
著者と語る 『福島第一原発~真相と展望』(集英社新書)
http://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0628-b/index.html
福島第一原発事故の直後、米テレビでメルトダウンが起きていると指摘した原子力技術者、アーニー・ガンダーセンさんが来日し、新著「福島第一原発 真相と展望」(集英社新書)について語り、質問に答えた。
福島第一原発のマークⅠ型原子炉について、設計上の問題を列挙した。さらに①放射能の封じ込めが設計上、最弱②地震・津波の情報無視③東電と規制当局の密接すぎる関係――を指摘し、みな同じことしかいわない「やまびこ効果」で安全神話が広がった、と述べた。住民避難や廃炉、除染の課題をあげ、「日本政府は東電を守ることを最優先し、国民を守ることは第二になっている」と批判した。また、原発建設の3条件として①冷却水の確保②地震③人口密度―をあげ、日本は①は十分だが、②と③からみて、原発は難しい、と述べた。日本の国土面積は世界の0.3%なのに、世界の地震発生数の10%が集中し、世界のどこと比べても30倍の地震が起こる国だ、と説明。「100年に一度、ではなく、1000年に一度のレベルで起こる地震に耐える原発は構造工学上、難しい」と述べ、「ほかの代替エネルギーを探す方が望ましい」と指摘した。使用済み核燃料の処分方法について、「私の学生のころから解決策は5年もあればできるといわれたが、その5年は一度も来なかった」と述べ、ガラス固化法は解決にならない、と説明した。
司会 日本記者クラブ企画委員 井田 由美(日本テレビ)
通訳 長井 鞠子 (サイマル・インターナショナル)
Fairewinds Associates Inc. のホームページ
http://fairewinds.com/
日本記者クラブのページ
http://www.jnpc.or.jp/activities/news/report/2012/02/r00023890/
ガンダーセン氏の新著「福島第一原発 真相と展望」(集英社新書)については、下記の通り。
Tags : アーニー・ガンダーセン |
福島第一原発事故 |
真相と展望 |
集英社 |
2012.01.02 (Mon)
福島第一原発:4号機の配管からの水漏れは1日の地震が原因か
このニュースを聞いたとき、いまにも崩れそうな福島第一原発の4号機の姿が脳裏をよぎった。案の定、報道では、今最も危険な状態な4号機の使用済み燃料プールの循環冷却に使っている配管から水漏れが起きている可能性が指摘されていた。Twitterでも、地震がこの漏れの原因だったのではないかと騒がれているようだ。
誰もがお正月くらい、ゆったりと過ごしたいでしょうに、今の日本では気の休まるときがないように思われる。お正月休みくらい、ゆっくりと骨休めできるよう、東電には4号機をしっかり補修してほしい。
今日はお正月ということもあり、めでたい話をしたいところだけど、今の日本の状況ではそうもいかないので、引き続き原発事故を分析して情報を提供してくださるクリス・バズビー博士とアーニー・ガンダーセン氏の最新の動画を紹介したい。これまで、二人の動画を一つのエントリーで紹介することはなかったと思うけど、今日は、お正月ということもあり、一石二鳥でいこうと思う。
まずは、バズビー博士の字幕入り動画から。
福島原発核分裂中! 政府マスコミ情報操作犯罪!バズビーFukushima Criminal Event!
*日本語訳全文・English transcript: http://.blog.fc2.com/blog-entry-302.html
Dr.バズビー:福島原発の犯罪的事故に捜査必要! Fukushima 'criminal event' calls for investigation
<日本語訳:Jo2Rayden>
RussiaToday さんが 2011/12/27 にアップロード
・健康への影響は、だれかが言っているよりも、非常に、はるかに深刻でしょう。
・日本がこれを認めるのに、時間がかかるのは、原子力産業から、強大な圧力があるからだ。原子力業界の人達は、一般に、原子力の拡大シナリオに関する巨額の利益を失う。
・日本人が、この原発事故で囚われの身になるだけでなく、この出来事で、世界の人々が、すべてのメディアにより、囚われの身になっている。
・この大惨事のような恐ろしい事故の影響に関する情報には、マスコミに、巨大な鉄の錠前が、掛かっっている。
・本当に、犯罪的な出来事です。もし、人々が、政府が把握している放射能レベルを知らされている場合は、これは刑事責任になるのです。
・国際原子力機関は、汚染の程度を白状すべきです。人々は、置き去りにされた。人々を、避難させるべきだった!
・原子炉は、いわゆる冷態停止状態と言われる。これは適当な情報操作だ。
・避難民は、一斉に家に戻るべきではない。汚染が酷過ぎ、極めて見込みのないことです。
・ごく最近、キセノン・放射性同位体が、各原子力発電所から、放出されています。キセノン・放射性同位体の半減期は、非常に短い!つまり、核分裂は、まだ各原子炉で、起っているのです!
TEPCO Believes Mission Accomplished & Regulators Allow Radioactive Dumping in Tokyo Bay
from Fairewinds Energy Education on Vimeo
こちらの和訳は、『阿修羅』に魑魅魍魎男さんが投稿してくださった。
フェアウィンズ・アソシエーツ アーニー・ガンダーセン氏 アップデート
http://www.asyura2.com/11/genpatu19/msg/720.html
投稿者 魑魅魍魎男 日時 2011 年 12 月 30 日 18:03:44: FpBksTgsjX9Gw
Tags : 福島第一原発 |
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パイプ漏れ |
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クリス・バズビー博士 |
アーニー・ガンダーセン |
2011.10.29 (Sat)
日本の命運を握る福島第一原発4号機
最近では、日本では福島第一原発事故はすでに過去の出来事で、放射能汚染は収まっているかのような印象を国民に与えようとメディアは必死で福島第一原発の状況を隠している。
しかし、今ではネットを通して、海外からの情報が簡単に手に入るため、事故が収まっているかの状況は、単なる幻想にすぎないということを原発事故のニュースに敏感な国民はわかっている。
日本の将来や日本人の健康を真剣に心配する海外在住の日本人を通してそういった情報は伝わってくることが多い。ニューヨーク在住の元外交官の松村昭雄氏のブログ『失われたリンクを探す』には、松村氏が国連勤務時代に知り合った著名な科学者や物理学者などからの情報をもとに書かれたとても貴重な記事が多いが、それらを翻訳してくださった『カレイドスコープ』の次の二つの記事は、秀逸だった。
カナダの物理学者:「今すぐに4号機プールの補強工事を!
前回の記事で紹介した国連のアドバイザリ・スタッフを務めていた松村昭雄氏ですが、さまざまな著名な学者の4号機建屋と使用済み燃料プールについての分析を、自身のブログで紹介しています。
その最新記事で、「四号機の格納容器の外にある1535本の燃料棒が地面に落ちれば、東京と横浜は閉鎖される」と、多くの科学者が強調して警告していることを報告しています。
その一人、カナダの権威ある学者、ゴードン・エドワーズ博士の記事を紹介しています。
(下の記事。この記事は、極力、意訳せず原文に忠実に翻訳してあります)
4号機の使用済み燃料プールと日本の運命
4号機建屋の倒壊、4号機の使用済み燃料プールが不安定な状態にあることをブログで警告し続けている人がいます。
国連や、国連の関係機関に長年、勤務していた松村昭雄さん。
松村さんのブログ
今現在は、地球の未来」を語り合う「グローバル・フォーラム」開催のため、文字通り世界中を飛び回っている忙しい身。
松村さんは、世界中の著名な学者と共に、4号機建屋の脆弱性を訴えています。
「日本の未来は、4号機建屋によって明暗が分かれる」と。
そのブログから、松村さんの記事をひとつ。
ゴードン・エドワーズ博士については、「プルトニウムが含まれた福島原発3号機爆発で危険なメルトダウンが始まった」という記事でも紹介したが、いちはやくメルトダウンの可能性を指摘していた物理学者だ。
カナダでは、数々の講演をして、原発による環境汚染の危険性を訴えている。原発の燃料となるウランを採掘するときに生じる危険性や、ウランの原料となる発ガン危険性の高いトリウムの運搬で河川などを汚染するべきではないことなどを主張し、原発を熟知する反原発派として知られている。
松村氏の英語で書かれたブログの”The Fourth Reactor and the Destiny of Japan”というエントリーに、かのアーニー・ガンダーセン氏からのコメントを発見し驚いた。
Arnie Gundersen says:
October 1, 2011 at 3:32 pm (UTC -4)
Reply
Hello Akio,
I too am concerned about Unit 4′s long term structural integrity.
This week, TEPCO also confirmed hydrogen is building up in the U1 (maybe 2&3) containments too.
The situation is not stabilized.
Fires or explosions might occur.
If there is any way for me to help, please let me know.
Arnie
アーニー・ガンダーセンからのコメント:
2011年10月1日 3時32分(UTC-4)
こんにちは、昭雄。
私も4号機の構造的な整合性について懸念を抱いています。
状況は安定していません。
火災や爆発が起こる可能性があります。
私にできることがあったら、知らせてください。
アーニー
松村氏について、ほとんど知らなかったが、「力強くしかし消えゆく、世界中の広島・長崎の生存者からのメッセージ:新しい価値観をもたらす被爆者生存者グループへのノーベル平和賞授与」と題された論文には強く共感した。次のページで紹介させていただきたい。
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2011.10.24 (Mon)
アーニー・ガンダ‐セン氏の警告
Nuclear Oversight Lacking Worldwide from Fairewinds Associates on Vimeo.
概要和訳:
ニューヨーク・タイムズは、福島第一原発事故は、日本政府が東京電力の監督を怠ったからであると述べているが、フェアウィンズ・アソシエイツの見解とは異なっている。フェアウィンズは米国でもNRC (原子力規制委員会:Nuclear Regulatory Commission)と原子力産業界の間に同じ馴れ合いの関係が存在することを示す。原発の安全性の向上を促す義務を拒否するような動きは、日本だけではなく、世界中の原子力産業で見受けられる。
全和訳書き起こしは、次のページへ。
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