2011.09.02 (Fri)
山下俊一が「朝日がん大賞」を受賞したことに怒りを覚える

命をかけて行う仕事なのに、日給がたったの1万4千円だとか。時給の間違いじゃないのかと思った。1日3時間の仕事なんだから、最低5万円は支払われるべき。東電が作業員を斡旋してくれる業者に払うのは、1日10万円だとか。その8割以上がピンはねされてしまうっていうんだから、とんでもない話だ。
そして、Peace_Communityをとおして、はなゆーさんが投稿してくださった8月24日付けAJW(Asahi Japan Watch)の東京電力の社員寮の管理人さんの話の記事は必読だ。
翻訳「東電社員寮の管理人夫妻が原発の真実を語った」
http://togetter.com/li/182347
約20年間、福島の東京電力社員寮で管理人を努める夫妻は、社員寮の入居者達を自分の子供のようだと言う。だから、原発作業員が現場で放射能漏れによって被爆していて将来ガンになるだろうから、絶対結婚しないという事を聞くと、言葉を失ってしまう。
311の大地震が起きた時、夫妻は、福島第一原発から5kmに位置する東電の独身寮の管理人をしていた。夫妻は現在、原発から800km程離れた愛媛県の公共住宅に避難している。その距離にも関わらず、独身寮入居者が電話で彼らの胸の内を打ち明けるという。
ある入寮者は「もう規定被ばく量に行ったよ」と言った。別の入寮者は、「原発事故の処理をしなきゃなんないけど、あるいみ、モルモットみたいだ」といい、62歳の夫人は時々彼らに何と声をかければ良いのか分からなくなる。「事態が収束したら、それがいつか彼らの強みになる事だけを考えたい」
かつて、夫人は完全に言葉を失った事があった。入寮者が「僕はいつガンが発症するかわからないから、結婚相談所に行ってもきっと一生結婚出来ないと思う。」と。そんな時、「あなたがどれだけ頑張っているかみんなわかっているよ」と声をかけるしか出来ないと言う。
夫妻は涙を浮かべながら、未来のある若者が気の毒だ、と言った。夫妻の勤める会社は、東電関連会社なので、夫妻は福島第一原発周辺の社員寮で管理人を勤めた。業務は、寮の管理業務とゴミ処理。入寮者の問題を聞いたり、忘年会を主催したりもした。「彼らは皆、自分の子供と同じ」と夫妻は言う。
311の地震が起きた時、独身寮の階段が壊れた。「原発に残ってれば良かった」と入寮者が言った。ご主人は「東電や政府関係者からの説明によれば、原子炉建屋の方が安全なきがした」と言う。災害時の避難先は最寄りの中学だが、夫妻はTVが映らなかったので被害の規模が分からなかった。
夫妻は独身寮に残り、入寮者の帰宅に備えた。しかし、3/11の夜7時頃、「安全な所へ避難し、窓を閉めて下さい」と公共放送が流れた。その時夫妻は、原発から放射能が漏れたかもしれないと、一番に思った。翌日、公共放送から住民に西へ避難するよう指示が出た。
ある入寮者が原発から寮に帰って来て「すぐ避難した方がいい。(原発)施設正門前の放射線量が異常に上がっている」と彼らに言った。彼らは最終的に、車で30km先の避難所に行った。その夜TVで、夫妻が車で避難している最中に水素爆発が起きたと報道された。
夫妻は恐怖を感じるより先に、入寮者達の顔が目に浮かんだと言う。東電女性社員と避難所で合流した時に、夫妻の顔を見るなり、彼女は泣き崩れた。彼女は、原発で先輩が津波に流されたと言った。その社員は、タービン建屋で破損を確認している時に津波に襲われた。
その女性は、腕をのばして先輩に「早くこっちに来て下さい」と叫んだが、先輩は間に合わなかった。夫人は涙を拭きながら、「現場作業員は、頑張っています。私達に逃げろと言った入寮者は、3/11非番であったにも拘らず「自分の交代が間に合わないから」と言って原発に向かった」と語った。
「入寮者とエリート高官が同罪とは思わない。彼らこそ内情と向き合うべきだ」と夫人は付け加えた。夫妻は福島県からの補助金と、老後のための貯蓄で生活している。夫妻はこの先どれ位、避難が続くが想像付かないそうだが、政府関係者から「時が来れば帰れますよ」とは言われたくないそうだ。
原発事故から25年経た今でも、チェルノブイリにはまだ立入り禁止地区がある。夫人は、「政府は、楽観的な事を言って被災者に将来の希望を持たせたり、原発作業員にプライドをもって働かせるのを辞めるべきだ」と結んだ。
原文:「Couple over TEPCO dorms told reality at nuke plant」
http://ajw.asahi.com/article/0311disaster/fukushima/AJ201108176599
August 24, 2011
By TERU OKUMURA / Staff Writer
上の記事は、とても感動させられる記事だけど、朝日への国民の怒りを静めるためのガス抜き記事に違いない。つい最近、朝日新聞は、年間100ミリシーベルト被曝しても大丈夫とのたまった悪名高き山下俊一教授に「朝日がん大賞」を受賞させて国民から袋叩きにあっている。最初に山下教授ががん大賞を受賞したと聞いたときは、がんを広める人間のがんに贈られる賞かと思った。
実際、朝日がん大賞とは、日本対がん協会が贈る協会賞の特別賞として、朝日新聞社の協力で創設されたもの。財団法人日本対がん協会は、朝日新聞社の創立80周年の記念事業であり、朝日新聞社が協会の活動をバックアップしている。朝日がん大賞の選考委員には、上田俊英・朝日新聞科学医療エディターも名を連ねている。山下教授の表彰は、もうすでに今日、9月2日に鹿児島市で開かれる「がん征圧全国大会」で行われた。
公益財団法人「日本対がん協会」のHPより
朝日がん大賞は、将来性のある研究や活動等を対象に贈るもので、平成13年(2001年)度から朝日新聞社の協力を得て創設しました。日本対がん協会賞の特別賞として、副賞100万円が贈られます。
【朝日がん大賞】
福島県立医科大学副学長
山下俊一(やました しゅんいち)59歳
1990年に長崎大学医学部教授に就任し、被爆地・長崎で放射線と甲状腺がんの臨床と基礎研究に携わるなか、1991年以降はチェルノブイリ原発事故後の学童検診を現地で主導。約20万人に及ぶ甲状腺検診から、放射性ヨウ素内部被曝による小児甲状腺がんの激増を科学的に明らかにすると同時に、早期発見と早期治療体制の確立に尽力した。以後、約20年にわたり、海外のヒバクシャを対象に医療支援活動や分子疫学調査を実施している。特に、放射線と健康リスクの最前線でのグローバルな研究実績は、放射線被曝による刻印遺伝子群の探究と疾患関連遺伝子群の発見、そして海外ヒバクシャの集団コホートの登録・生体資料収集バンク構築などに結実し、今後の包括的がん研究と患者還元型研究の世界的なモデルと評価される。
また、今年7月からは福島県立医科大学副学長にも就任。3月に発生した東京電力福島第一原発事故の現地で、原爆医療とチェルノブイリの実績をもとに、低線量慢性放射線被曝による発がんリスクの評価と長期にわたる県民健康管理プロジェクトに携わり、健康リスクの有無を調査研究すると同時に、新たな放射線医療科学の世界拠点と体制づくりの中心的存在として、注目される。
朝日が主催する乳癌撲滅運動のピンクリボン募金やその他の癌募金が、結局はこのような御用学者への副賞として支払われるとしたら、とんでもないことだ。ちなみに「日本対がん協会」の理事長は、「朝日を普通の新聞にする」をスローガンに、企業寄り路線を進めて記者の士気を低下させ、武富士裏金(広告費)問題で引責辞任した朝日新聞元社長の箱島信一氏だそうだ。
菅元総理を熱烈に支持した朝日がよく社説で掲げる原発依存からの脱却。いくら山下氏は確かに菅内閣でも原子力災害専門家グループに属していたからといっても、安全デマをふりまく原子力村の御用学者への贈賞はかなり矛盾している。朝日新聞社の説明責任を追究しようではないか。
『レイバーネット』【憤怒!】続報・山下俊一への「朝日がん大賞」を撤回させよう!より
【抗議・要請先】
◆宝山ホール(鹿児島県文化センター):表彰式の会場
(FAX)099-223-2503 (TEL)099-223-4221
※「がん征圧大会(日本対がん協会)事務局に届けてください」と添えて、
「山下俊一への朝日がん大賞授賞を撤回してください」等のファックスを。
なるべく2日(金)午前9時の大会開場までに。
◆朝日新聞・お客さまオフィス
(FAX)03-5540-7618 (TEL)03-5540-7615
(E-mail)koho@asahi.com [9時~21時]
◆朝日新聞・科学医療グループ(上田俊英エディター=大賞選考委員!)
(FAX)03-3542-3217 (TEL)03-5541-8631
(E-mail)kagaku@asahi.com
◆朝日新聞・編集委員室(十数人の編集委員がいるそう。昼間がベター)
(FAX)03-3545-0205 (TEL)03-5541-8403
(「編集委員室」あてで、前回の番号に加えてこちらにもファックスを)
◆日本対がん協会(有楽町マリオン13階)
(FAX)03-5222-6700、03-3215-0522
(TEL)03-5218-4771
※「鹿児島に行っている担当者に即刻届けて!」と添えてファックスを。
◆朝日新聞「声」欄への投書を。
【投稿先】 朝日新聞「声」 ◆550字以内
(FAX)0570-013579
(FAX)03-3248-0355
(E-mail) tokyo-koe@asahi.com
※住所、氏名、年齢、性別、職業、電話番号(携帯電話も)を明記。 実名原則。他の投稿欄との二重投稿などはご遠慮を。
◆可能な団体・個人は、朝日や日本対がん協会に対する抗議文、質問状などをぜひ作って提出されてはと思います。また、それをメディアに広報してください。
◆ツイッターやフェイスブックなども活用して、ぜひこの問題とできることについて広めてください。
山下俊一トンデモ発言
【More・・・】
参考記事:EX-SKF-JP
放射線研究で世界に冠たろうとする山下俊一教授、独シュピーゲル誌とインタビュー
原文:Fukushima Nuclear Catastrophe
08/19/2011 Spiegel Online International
ドイツのシュピーゲル誌のインタビューに応じた長崎大・福島医大の山下俊一教授、いろいろと過去の発言について鋭く突っ込まれています。
「放射線の影響はにこにこ笑ってる人には来ない、くよくよしてる人に来る」という発言の意図は?
山下:リラックスも大事だと
リラックスしやすいようにと、年間100ミリシーベルト被曝しても大丈夫だともおっしゃっているが?
山下:日本政府が混乱させたのが悪い。
教授を非難する人々がいるが?
山下:そういう人たちは科学者じゃない。医者でも専門家でもない。
原発周辺の住民には放射線によるどのような健康リスクがあるか?
山下:そんなものはない。放射線のレベルが低すぎる。
大熊町の一年間の積算放射線被曝量は508ミリシーベルトです。山下教授にとってはそれでも低すぎるんでしょうか。
そのくせ、教授は、住民に放射線リスクなどはない、と言ったすぐそばから、福島県全体、県民全員を対象にした科学界未曾有の規模の研究について嬉々として語っています。血圧上昇を覚悟で記事の全訳、お読みください。
しかし一つ解せないのは、こんな学者を世界の学者が放っておくことです。
8月19日付けドイツ・シュピーゲル誌記事全訳(リンクは元記事に行きます):
福島事故の余波
「住民は放射能恐怖症にかかっている」
山下俊一は放射線の影響を研究する分野において日本を代表する科学者の一人だ。山下は『シュピーゲル』紙とのインタビューで、福島第一原発周辺の住民に放射線被曝の潜在的危険性を伝える仕事について語った。多くの住民が重度の放射能恐怖症にかかっていると山下は話す。
低線量放射線被曝は人体にどれくらい害を及ぼすのか。この問題については科学者のあいだで熱い議論が戦わされている。しかし、原発周辺の住民にその議論の詳細まで説明するには、今はいい時期とはいえない。住民は今まさに放射線の危険と背中合わせで暮らしているからだ。
山下俊一は放射線防護の専門家で59歳。放射線の影響を解明するうえで多大な貢献をしてきた。長崎の被爆者や、1986年のチェルノブイリ原発事故の影響を研究し、チェルノブイリについては日本の科学調査団の一員として現地を100回近く訪問している。山下が今調べているのは福島における大事故の影響だ。ところが、山下の仕事は地元住民の強い反発を買っている。
『シュピーゲル』は山下にインタビューし、福島で予想される被曝の影響や、過去最大級の科学研究をこの地域で行なう計画について話をきいた。この研究で山下は、約200万人の被験者を対象に原発事故の健康影響を調べる考えだ。
シュピーゲル:あなたは福島県から招聘されて、被害地域の住民に放射線リスクを伝える仕事をしてきた。一番最初に「放射線の影響はにこにこ笑ってる人には来ない、くよくよしてる人に来る」とおっしゃったが、あれはどういう意味だったのか。
山下:あれは3月20日の最初の集会でしたね。本当にショックを受けましたよ。皆さんあまりに真面目で、誰も笑わないんですから。
シュ:自分たちの村や町が放射能で汚染されてしまい、目に見えない危険がどんなものかを誰も知らない。そういう反応も当然だと思うが。
山下:皆さん非常に重苦しい雰囲気でした。ラットを使った動物実験からは、ストレスを感じやすいラットほど放射線の影響を受けやすいことが明確にわかっています。放射線の影響下にある人たちにとってストレスは百害あって一利なしです。しかも精神的なストレスは免疫系の働きを抑制するため、ある種のがんや、がん以外の疾患の発症につながるおそれがあります。だからリラックスも大事だと話したのです。
シュ:住民がリラックスしやすいようにと、年間100ミリシーベルト被曝しても大丈夫だともおっしゃっている。通常それは原発労働者の緊急時の被曝上限だと思うが。
山下:100mSvでも大丈夫だから心配いらない、などとは言っていません。ただ、100mSv未満ではがん発症率の上昇が証明できていない、と話しただけです。これは広島、長崎、チェルノブイリの調査から得られた事実です。
シュ:だが、そうやって安心させようとすることが、住民の方々の怒りと恐怖をかえって高めることになるとは思わなかった?
山下:日本政府が年間被曝上限を20mSvに設定したことが、混乱に拍車をかけたと思います。国際放射線防護委員会(ICRP)は、原子力非常事態が起きた際には年間被曝上限を20~100mSvのあいだに設定するよう提言しています。その範囲のどこで線引きをするかは政治的な判断で決まることです。リスクと利益をはかりにかけて考えなくてはいけません。避難するにしてもリスクを伴うからです。放射線防護の観点から見れば、日本政府は最も慎重な方針を選んだのですが、それが皆さんの混乱と不安を高めてしまいました。
シュ:あなたはご自身の数々の発言のため世間で物議をかもしている。あなたを刑事告発したジャーナリストがいるし、反原発の活動家は……
山下:……そういう人たちは科学者ではありません。医師でもなければ放射線の専門家でもない。研究者が研究を積み重ねてきめた国際基準についても何も知りません。皆さんが噂や雑誌や、ツイッターの情報を信じているのを見ると悲しくなります。
シュ:だが専門家は原発は100%安全だと何十年も言い続けてきた。そんな専門家を信じられるわけがない。
山下:私は福島に来て、こういう事故に対する備えがまったくなされていなかったのを知って驚きました。私はかつて中国や旧ソ連諸国に放射線防護に関する助言をしました。今度は自分の国で恐ろしい事故が起きたのに、誰も備えをしていない。福島の人たちは、自分たちの地域に原子炉が11基あることも知らなかったんです。福島大学の医学部には放射線防護医学の専門家がただの一人もいませんでした。
シュ:事故の被害に遭った人たちに対して、今だったら話し方を変えるか?
山下:最初は住民が放射能について何の知識もなかったので、曖昧な表現を避けようと思いました。今では白黒をはっきり言うのではなく、灰色の部分も伝えるような話し方に変えています。
シュ:住民ははっきりした答えを知りたがっている。どこまでが安全なのか。どこからが安全でないのか。
山下:そういう答えはありません。「100mSvまでなら100パーセント安全なんですか?」と尋ねられたら、科学者としてこう答えるしかないのです。「わかりません」と。
シュ:これまでの研究で、100人が100mSvの放射線を浴びたら1人がその放射線のせいでがんを発症することが統計的にわかっている。同程度のリスクが100mSv未満にも当てはまる可能性はあるのか。
山下:可能性はあります。ただ問題は、低線量被曝の健康リスクを推測する際にいわゆる「しきい値なしの直線線量反応モデル」というのが使われることです。このモデルは、たとえわずかでも通常時より多い被曝を受けたら、その被曝した集団の中でがんの発症率がわずかに上昇するという前提に立っています。そうした上昇は理論的にはありえますが、被曝量が100mSv未満の場合には統計的に有意な上昇ではないので、リスクが高まることを支持しているとは言い切れません。それに、何が原因で腫瘍ができたかは区別できません。放射線由来の腫瘍であることが突き止められるような特有の特徴が残るわけではないのです。放射線生物学の研究からは、低線量被曝で人間のDNAが傷つくこともわかっています。ですが、人体はそうした傷を短時間でうまく修復する能力をもっています。生まれながらに人体に備わった防護メカニズムです。私はそういうことを伝えようとしているのです。
シュ:では、そういう情報を住民はどう受けとめればいいのか。
山下:低線量被曝の状況下では、残るか去るかは住民自身が判断しなくてはなりません。ほかに決めてくれる人はいません。自分でリスクと利益をはかりにかけて考えるのです。避難すれば仕事を失い、子供は転校を余儀なくされるかもしれません。それがストレスにつながります。反面、その一家は発がんのリスクを回避できるかもしれません。発がんリスクといってもごくわずかではありますが。
シュ:原発事故の被害を受けたうえにそうした決断を自分たちでしなければいけないとういのは、家族にとってきわめて大きな負担だ。
山下:その通りです。ですから東電も日本政府も、家族が決断しやすいように支援してあげる必要があります。留まろうと思う住民に対しても、1mSvを少しでも超えたら高すぎると考える住民に対しても。
シュ:原発周辺の住民には放射線によるどのような健康リスクが考えられるのか。
山下:周辺住民に放射線による直接的な影響が生じるとは思いません。線量が小さすぎます。
シュ:では、がんもがん死もまったく起きないと?
山下:データに基づいて考えればそうなります。もちろん原発作業員の場合は別です。
シュ:あなたはこれからの研究計画についてすでに話をしている。福島県民の健康状態を今後30年にわたって追跡調査すると。
山下:現在の状況では、私たちは地元の方々になかなか受け入れてもらえません。考えられる最良の医療を住民の皆さんに提供することが最優先です。
シュ:これまでにもっと思いやりのある話し方をしていれば住民に受け入れられたのではないか。
山下:今回の事故のせいで、福島県民は東電と日本政府への信頼を完全になくしました。住民の皆さんは苦しんでいます。地震と津波の被害だけでなく、放射線対する大きな不安に苦しんでいます。まさに放射能恐怖症です。ですから、私たちはその不安を和らげて、住民の心の支えになってあげる必要があります。疫学研究の話はあとからでもできます。地元住民の支援なしには私たちは何もできません。今の状況では、私が長崎とチェルノブイリで研究した専門家であるという肩書きもいっさい役に立たないのです。だから私は福島に移ってきました。
シュ:研究ではどういうことを調べるつもりなのか。
山下:被験者を3つのグループに分けます。原発労働者、子供、それから一般住民です。労働者は高線量の放射線に被曝しています。がんをはじめとするいろいろな疾患について、放射線の影響を追跡調査することが絶対に必要です。一般住民はさらに2つのグループに分かれます。比較的低線量の被曝をした住民と、比較的高線量の被曝をした住民です。福島県の保健福祉部では、26,000人の住民を対象に先行調査を行なっており、まもなく問診票の回収を終える予定です。
シュ:でも住民自身は自分の被曝量がわからない。
山下:それは私たちが突き止めないといけません。3月11日には何時にどこにいたかをきき、以後も3月中の毎日について同じ質問をしています。それから、事故後最初の2週間に何を食べたかや、自宅やアパートが木造かどうかといったことも確認します。そうしたデータと、放射能の雲の分布状況を組み合わせて、それから被曝線量を計算するのです。
シュ:どれくらいの人が被験者になるのか。
山下:200万人の福島県民全員です。科学界に記録を打ち立てる大規模な研究になります。政府は原発事故の被害者に対する補償金について先ごろ決定を下しました。そうした補償プロセスを通じて、県外に避難している住民の方々にも連絡を取りたいと考えています。
シュ:子供についてはどうか。
山下:18歳未満の子供全員について甲状腺の超音波検査を実施したいと考えています。全部で360,000人です。被曝してから甲状腺がんを発症するまでには約5年かかります。それはチェルノブイリの経験で明らかになったことです。
シュ:事故による精神的な影響についても調査しているのか。
山下:もちろんです。チェルノブイリの経験から、心理的な影響が非常に大きいことがわかっています。チェルノブイリでは避難住民の寿命が65歳から58歳に低下しました。がんのせいではありません。鬱病やアルコール依存症、自殺などのためです。移住は容易ではありません。ストレスが非常に大きくなります。そうした問題を把握するとともに、その治療にも努める必要があります。さもないと住民の皆さんは自分が単なるモルモットだと感じてしまうでしょう。
インタビュー:コーデュラ・マイヤー
山下俊一について
山下俊一、59歳。放射線の影響を研究する分野において日本を代表する専門家の一人。長崎大学大学院医歯薬学総合研究科教授。福島第一原発の事故後、福島県放射線健康リスク管理アドバイザーに就任。
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DNAの修復が短時間で出来るのは、放射線被曝が短期間で終わった時の事でしょう。今回のように、被曝がずっと続いている状態でどのような修復がなされるのか。なされないのか。
ああ、この先生はそれを調べたいわけですね。数年、十数年、数十年かけて。モルモットにモルモットと感じさせないために、いわゆる「心のケア」も忘れないそうですから、皆さん安心してください。
福島原発事故で信頼を失ったのは東電と日本政府だけではなく、山下教授のような専門家もなんですが、その辺はごっそり認識が抜けていますね。さすがです。
(H/T東京茶とら猫)
危険な原発で働き、癌になる可能性のある作業員には安い賃金が払われ、原発事故のA級戦犯に賞と共に100万円が贈られるこの日本の現実に、めまいを覚えるのは私だけではないだろう。

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http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20110829ddm010040015000c.html
◇M5以上余震、史上最多550回超 M8級や誘発地震警戒
大地震の後には震源の周辺でしばらく余震が続く。
東日本大震災後、8月下旬までにM5以上の余震は550回を超えた。
過去10年に日本全体で起きたM5以上の地震は年平均120回程度。
今回の余震は観測史上最多だ。
専門家は最大M8級の余震も起こり得るとして年単位の警戒を呼びかける。
◇1.8マイクロ秒
震災で1日の長さは1.8マイクロ秒短くなった。
1マイクロ秒は100万分の1秒。
巨大な太平洋プレートが動いて地球の質量分布が変化し、
自転速度が増したため--米航空宇宙局(NASA)
東海地震、東南海・南海地震でもM9巨大地震の可能性(沖縄まで)
計算では、東海地震と東南海・南海地震が同時に起きて
四国の沖合のプレートの境目が20メートルほどずれ動くと、
今回のようなマグニチュード9に近い巨大地震になるということです。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110901/tky11090121220012-n1.htm
東京都教育委員会は1日、
放射性物質に汚染された稲わらを食べた可能性のある牛の肉が、
都内7区の区立小中学校計16校で給食に使われていたと発表した。
1人当たりの使用量は最大約30グラムといい、
都教委は「量が少なく、健康に影響するものではないと考えられる」としている。
都教委によると、使用が判明したのは
台東、墨田、江東、品川、大田、杉並、江戸川の7区。
すでに該当する学校の保護者らには通知されているという。
調査は4月5日から7月25日まで実施。この期間、
34区市町村では牛肉そのものを使っていなかった。
都立学校11校で汚染稲わら給餌牛肉を使用
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110826/tky11082621530011-n1.htm
東京都教委は26日、
放射性物質に汚染された稲わらを食べた可能性のある宮城県産牛の肉が、
都立高校など計11校の給食に使われたと発表した。
都教委は「1人当たりの使用料は少量で、健康被害の心配はない」としている。
教委によると、使用が判明したのは、都立の定時制高校9校と特別支援学校2校。
5月6日から7月8日にかけて最大で1人当たり70グラムの牛肉が使用された。
7月25日までに給食で使用された牛肉を調査し、
厚生労働省が公表している個体識別番号と照合した。
判明したのは、世田谷泉高校▽調布特別支援学校
▽大山高校▽板橋有徳高校▽北豊島工業高校
▽神代高校▽六郷工科高校▽大森高校▽高島特別支援学校
▽葛飾商業高校(暫定規制値以下)▽本所工業高校(同)-。
佐賀の小中7校給食に疑いのある牛肉 検査できずも微量
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110823/sag11082317530000-n1.htm
埼玉県川口市の10歳女の子の尿から放射性セシウムが検出され、
東京都世田谷区、東京都豊島区在住のお子さんの
尿からも放射性セシウムが検出され内部被爆している事が解りました。
東京電力は夏のボーナスが支給されたそうですが、
これから出る全員の夏冬のボーナスは
すべて保証金に回すべきです。
AJWの記事ですけど、4号機タービン建屋で「津波に流されて」亡くなったことになっている人のストーリーが出てきた時点で、ソースがどこかはっきりしました。これ、東電側の捏造ストーリーでしょう。
4号機タービン建屋で水に浮かんだまま3月末まで放置された2人の東電社員に、実際は何が起きたのでしょうか?
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株主総会があれば経営陣が追及されるだろうけどね。